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僕は、ヱッチな小説を書キてゐゑ
第9章 コンテスト受賞作の作り方

ノートにバリバリとセリフやト書きを書き込んでいく私の姿をティコは相変わらずニヘニヘしながら眺めていた。その頃にはお互いの気持ちに気づき合っていた。二人ともそれを口にしたことはなかったけれど。
黙々とシナリオを書き進める私の横顔を、今年もやはり黙ったままずっと見つめ続けてくれていた。去年と同じ光景――でも、私は変わった。
そして夏。
ムー先生が選んだのは私の書いた脚本だった。
須股さんは三本書いて提出したが、駄目だった。
その年のコンクールに演出・脚本として選ばれたのは私だった。
全国大会では主演、地区大会では演出・脚本。
どう考えても無茶な仕事量になる。しかし、ムー先生はわかっていて私を選んでくれた。
最後の一年を、挑戦してみろということだ。
挑戦できなかった者はどうなったか。
「どんぱ(同学年)の子ら、ボイコットするってむくれてるのさ~」
ティコが教えてくれた。
須股さんが中心となっているのはわかり切っていた。
仕方ない。それは覚悟していた。自分は彼女の夢を潰したのだ。恨まれる筋合いがある。

