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僕は、ヱッチな小説を書キてゐゑ
第9章 コンテスト受賞作の作り方

ムー先生がハッパをかけても士気は上がらない。
彼自身、学年主任として今年受験となる自分の生徒たちの進路や学習の指導をおろそかにするわけにはいかない。
おそらく苦渋の決断の末、演劇部では全国大会のほうの指導に注力していた。私やティコを始めとする地区大会の中心メンバー――いや、私は全国のメンバーでもあったから、一番の重責はティコの肩にのしかかっていたと思う。さしものマイペース人間も笑顔が少なくなっていった。あきらかに疲労していた。
焦る。しかし、どうにもならない。
逃げ出すこともできない。自分で手を挙げて選んだ道だ。それにみんなを巻き込んでいる。責任がある。
どうすればいい、どうすればいい、どうすれば――よかった?
そんな状況の中、ある夜――泊まり込みの合宿中だった――ティコが私に言った。
「私、先輩をだまくらかしてたんだわ」
「……?」

