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僕は、ヱッチな小説を書キてゐゑ
第9章 コンテスト受賞作の作り方

「私が好きだったは……うはぁこっ恥じぃ……声だったんさ。先輩の声……なまら好き」
声。
ずっと、私を見つめてくれていたティコ。
黙ったままの私を。
二年間、ずっと。
話しかけて邪魔しないように。なまら好きなその声を聞こうとすらせずに。
「ティコ……」
「おっちゃんこして、先輩、そこにおっちゃんこ」
座れという意味だということは知っていた。
二年も一緒に座っていたのだもの。
ティコが私を階段に押し倒すようにして身を寄りかからせてきた。
「聞かしんさ、いいしょや。ずっとこらえとったもん、もう、いいしょや。聞かしんさ、私のなまら好きな先輩の声、のっこり聞かしんさ」
その手が学生ズボンの中に忍び込み……そして、私は、抗おうとしたのは最初だけで。
聞かせてあげた。二年分の。
なまら好きだと言ってくれた、私の声を。
今度は逆に、ひと言も発さないその顔を、私のほうが見つめながら。

