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霞草
第7章 すれ違い
僕がどれを明日にするか、
選択しなければならない状況にあることを、
この丘は伝えているのかもしれない。
そんな思いにふけて無口になる僕を、彼女も無言のまま、握る手の温もりで支えてくれる。
長い沈黙のあと、僕は、
「本当に綺麗だね。」
としか言えなかった。
彼女は、
「そうね。」
と答え、僕の肩に頭を乗せた。
二人とも、それ以上は、何も言えない。
このまま続く明日がないことは、よくわかっていたから、言葉にできなかった。
僕は、寄りかかる彼女の肩に、そっと手を回した。
二人ができるのは、そこまでだった。
日が傾き、山の色や花たちの彩りが、変化する。
変わりゆく美しさを、静かに二人で眺めていた。