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傘の雨
第3章 涙に花
真っ暗なステージの上で全員で手を繋ぐと、隣のユエンとソンミンの手が震えていた。

同じ気持ちだった。

顔を上げて、お互いを見つめると恐怖が和らいだ。

「行こう!!」

ウジンの掛け声で立ち位置に着く。

幕があがると、スポットライトで目が眩んだ。

イントロと、ステップと…いつの間にか笑顔で気持ちがうわーっとなった。

あっという間の時間。

汗を拭って、ふうっと一息ついて顔をあげて初めてファンの存在に気づいた。

そして…結鶴の姿にも。

記者に囲まれて、デビューのインタビューを受けて、デビューイベントに来てくれたファンを見送りに立つ。

50人にも満たないけれど、口々に賞賛と愛の言葉を口にしてくれて、やっぱり胸がいっぱいになった。

「おめでとう!これからもずっと応援してるよ!」

結鶴のそれはありふれたファンの1つの言葉だったけれど、この日のために韓国まで来てくれて、ただただ幸せだった。

見送りが終わって控え室に帰るとすぐスマホを出した。

「もしもし!もう帰るの??」

『明日帰るよ』

「ご飯、食べに行こ!」

直ぐに返事はない。

「ジナ!SCEPTVするよー」

初めての配信だ。

「行ってくるね!返事ちょーだい」

慌てて切ると合流した。


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