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傘の雨
第4章 熱に氷
久しぶりの1人の空港。

日本での仕事のため俺1人なのに、沢山のカメラと溢れるファンの数。

平日の昼間だというのに、有難いような…心苦しいような。

ジッキを左手に持って、両手を振る。

離陸するまでは起きてたのに、海を眼下に見る前に眠っていた。

あっという間に着陸。

こちらでも迎えてくれるファンが警備員に統制されていた。

車に乗り込むと隣でソンウヒョンがスケジュールを確認していた。

「撮影の前に時間空くけど、家行くか?」

「うん」

ソンウヒョンは車で仕事をして待ってると言い、俺は1人でエレベーターに乗った。

パスワードを入力して、カードキーをかざす。

玄関に揃えられた男物の靴を一瞥してドアを開けた。

あーいい匂い。

「ただいまー」

「あら仁くん、早いおかえりね」

「すぐ出ちゃうけどね」

手荷物を部屋に置いて、テーブルに並んでいる料理をひとつまみ。

「まあ!お行儀の悪い」

「ダムちゃんの美味いんだもん」

ダムちゃんこと、ディーゼル・ダム子ちゃんは俺がハウスキーパーを探してる時に某飲み屋で紹介された人だ。

女のハウスキーパーは嫌だったし、だからと言って男で結鶴に手を出されるのはもっと嫌だった。

ダムちゃんはその点性別男、心は乙女、しかも家事全般プロ級ってことで即決した。
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