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傘の雨
第4章 熱に氷
明日は少し遅めらしく、信号が全部青になるように願った。

玄関には女物のヒールの靴。

「ただいまー」

「おかえり」

ドアから覗くすっぴんの結鶴。

「ロールキャベツ、明日にするでしょ?」

「うん、ごめん」

シャワーを浴びて出る頃には日付が変わっていたけれど、結鶴はソファに座って待ってくれていた。

「明日も仕事なのに…寝てていいよ」

「明日も仕事なのはハニもでしょ?」

1時間くらい話して別々の部屋で眠る。

朝はあっという間に来て、起きなくてもいいのにという結鶴の支度を眺めながらロールキャベツを堪能する。

髪をひとまとめにして項が晒されると、思わず咳き込んだ。

ピアスをつける仕草とか、ホックを留める仕草とか…いちいち可愛いかよ。

「行ってらっしゃい」
「行ってきます」

お見送りしてドアが閉まると大きなため息がでた。

4日なんてあっという間で、結鶴を見送る時間に帰ってきたり、寝顔を見るだけだったけど、それでも同じ空間と重なる時間に幸せだった。

「ハニ、お見送りできなくてごめんね」

4日目の朝、午前便で帰る俺に結鶴はそう謝った。

「それより、んっ!」

両腕を広げると結鶴は抱きしめてくれた。


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