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傘の雨
第2章 2.空が海
渡韓して初めての誕生日。

宿舎でケーキを囲んで、ダイエットもこの日だけはお休み。

思いっきりジャンクな夕飯を食べていると電話が鳴った。

「もしもし!」

表示されたのは結鶴。

『ハニ?元気?今大丈夫?』

「ちょっと待って」

慌ててベランダに出た。

『誕生日おめでとう、プレゼント届いた?』

結鶴からのプレゼントはピアスだった。

先月3つ目のピアスを開けたからか、ピアスは5個も入っていた。

「あと2つ開ける」

『予備だから』

笑い声が耳元で響く幸せ。

緩む口元もここなら誰にも隠さなくていい…って!

「ヌナ〜アンニョーン」

結鶴のことを知ってる練習生たちにスマホを奪われて、片言の日本語とスローな韓国語が入り乱れる。

奪い返そうにも次々回され、手元に戻ってきたのは30分後。

『ハニが愛されてるのが分かってうれしい』

俺は嬉しくもないし、面白くない。

『じゃあまたね!ちゃんとたべるんだよ?』

「うん、ピアスありがとう!…っ!」

『なに?』

「…なんでもない、おやすみ」

あいたい、その一言をいつもまだ言えずに通話を切る。

「切ないねえ、ジナ」

いいんだ、今はこれで。

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