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淫の館
第6章 脱走

「朝げだ、取りに来い。」


はっ…あのまま朝まで寝てしまったんだ。

自分ではぐっすり熟睡したと思っていた。

急いで襖を開けたが、やはり担当はもう格子戸の向こうだった。


「いただきます。」

あっ…今日も美味しい。


私は無意識に声に出して行動していた。
世話が無くなり人との関わりもなくなってしまい寂しかったのだ。

弟子の名前も顔もわからない。

「ごちそうさまでした。」

お膳を部屋の外に出す。
拷問部屋には誰も居なかった。


障子を開けて髪の毛を見る。

一人目、ハチ、トイチ、シロク、ハタチ、サブロー、ココノツ、…

一人一人の顔を思い浮かべながら…

プチッ…

「そして、不明…」

今日の分を抜いて置いた。
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