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淫の館
第6章 脱走
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ジジッ…ジジッ…
痛くはない。
私は恐る恐る目を開けた。
「はっ…髪の毛…」
額のすぐ上から髪の毛が切られている。
落武者のように額から頭頂部まで数ミリという長さに髪が切られていた。
あああっ…
「髪は女の命だと言っただろう。
命をもらう、この髪をもらうのだ。」
あああっ…そんな…そんなぁ…
「動くな、よく切れる剃刀だ。触れただけで皮膚も切れてしまうぞ。」
ああああああっ…
涙が溢れて視界がぼやけていた。
「それに、細胞は1週間から1月でほとんど生まれ変わって新しいものになる。
ただ、この髪は、まだ世俗にいた時に生まれたもの、お前と世俗を繋ぐものは、身につけていてはならないのだ。」
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