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淫の館
第6章 脱走

私はそのまま寝てしまったらしい。
もう気力がなくなってしまった。
いつか脱走しようと張りつめていたものが切れてしまった。
もう生きている意味がないのではないか…
いつか、もしかしたら逃げられるかもしれない。
儚い希望を失い、本当に命を奪われたのだ。
しかし、いつまでも現実逃避することすら許されなかった。
頭が…暑い…
頭皮に直に当たる日差しが暑く、眠ることすら許されなかったのだ。
「暑い…暑い…誰か助けてえ…」
食事を終えたら戻るといった担当は来なかった。
そして拷問部屋の明かりも消えていて、窓ガラスは大の字で括られた無様な女の姿を反射させていた。

