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淫の館
第6章 脱走
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「館主様、どうか殺さないでくださいぃ…
館主様の為に生きますから、どうか生かしてくださいぃ…」
浅ましい…
結局、子供に会えなくても、髪を奪われて情けない姿でも、私は生きていたい。
苦しいのも、痛いのも嫌だ。死にたくないのだ。
「館主様、生きていたいです。どうか生かしてくださいぃ…。」
吊られるというのは、実に辛い、直接結ばれている部分に体重がかかるのはもちろんのこと、
痛みを逃れたくて体の全てを緊張させているのだ。
でも、顔を真っ直ぐ上げているのが辛くなり、項垂れていた。
地面に蟻が歩いていた。
一匹で…
探索しているのか、迷って巣に帰れないのか、真っ直ぐ進むのでなく、あっちに行っては戻り、こっちに行っては戻りとしていた。
やがて草むらに入っていき、戻って来なかった。
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