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淫の館
第1章 入館までの流れ 初日

思わず男の方に顔を向けると、ヌッとついてない方の男の手が伸びてきた。
「アロマオイルの香りは、こちらでよろしいですか?」
ビクッとした私の鼻先に、甘い香りが広がった。
「はい。」
ただ甘いだけでなく、リラックスできる香りに私は返事をした。
「爪先の方からマッサージしていきます。」
男の気配が消え、足元でギシッとベッドが鳴る。
薄暗い上にうつ伏せでいるため視界はないに等しい。
そのぶん全身が耳となり、男の気配を探っていた。
「あっ…」
「私の手、冷たかったでしょうか?」
ふいに足首を捕まれ、甲から足指が手に包まれた。
「いいえ、温かいです。」
突然、足首を捕まれて驚いて声を出してしまっただけだ。
男がフッと笑ったような気がしたが、アロマオイルを纏う男の手に包まれて、足指が一本一本解されていった。
「気持ちいいです。」
「それは良かったです。」
こういう気持ち良さを求めてきたのではないのに、
純粋にマッサージが心地良かった。
足指、甲、足裏、足首までが丹念にマッサージされ、爪先から全身がポカポカしてきた。

