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淫の館
第1章 入館までの流れ 初日

男の手のひらはグッと足首を掴み、そこから膝裏までデトックスを行うように強く押し上げられていく。
押し上げて手を離してしまうのではなく、じっくりと肌を味わうように降りてくる復路があった。
男の話を聞いたせいか、そのじっくりとした復路に意識がいく。
ただ真っ直ぐに撫で降りるだけなのに、とてもイヤラシイ触れ方に感じる。
男が、私に触れたくてマッサージを施しているのだと思えるのだ。
「性感帯などと簡単に言いますが、実に難しい仕組みのようです。
触覚は触れられているという感覚しか持ち得ません。
脳がそこに気持ちいい、気持ちよくないという味付けをするのに、
更に性的に気持ちいいという味付けをさせるための情報が必要なのです。
ただ、反対にここでしか性感を感じないという細胞は存在しないので、一度スイッチが入れば、どこであっても性的に気持ちいい場所となります。」
男は説明を続けながら、片足ずつマッサージして、今は両足を同時に擦りあげている。
足首から膝裏までで、それこそ性感と意識する部位ではないのに、
まるでデトックスでなく、淫欲を押し上げるように感じられた。

