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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第37章 亮輔は私たちの子供なのよ!
沢渡が意味深な言葉を口にした。

「あの人、結婚して亮輔が生まれてもあちこち海外へ出張してほとんど家にいる事が無かったから。もしかしてあの人は知ってたのかしら?」

千尋も意味深な言葉を口にした。

亮輔の事に関してこの二人は何か秘密を持っているようだ。

「もしかしてその事を言いにここへ来たの?」

千尋は沢渡の向かいのソファーに座り、タバコに火を点けた。

フゥーっと煙が天井まで上がり、モヤモヤした煙と千尋の心のモヤモヤした状態がシンクロする。

「そうだ。だが一つ気になっていた事があって…」

沢渡は達也の異様な雰囲気を思い出していた。

「気になるっていうのは?」

足を組み替えながらタバコを手に千尋は沢渡に聞いた。

「うん、どうやら彼は表の人間ではない。これはあくまでも私の直感だが、最後に見たのは中学を卒業した時だから10年ぐらい経つが、あの冷ややかな眼差しとただならぬ雰囲気は表の人間ではない。
しかも去り際にポルトガル語でボソッと耳打ちしてきたんだが、何を言ってるのか分からなかったけど、背筋が凍る程の恐ろしい殺気を身に纏っていた。
立花ともここ2年程連絡がつかないし、何かあったのだろうか…」

沢渡はバーでの帰り際に囁いたポルトガル語が何か不吉な予感がしてここへ来て真っ先に千尋に知らせようとした。

「…何なの不吉なポルトガル語って?」

千尋は達也の事に関しては沢渡が相手だろうが、あまり話したくない。
出来れば忘れたい存在だ。

「達也くんにそれは何て意味だ?って聞いたら、そのうち父に会えますよって意味らしいんだが、何故そこの部分だけポルトガル語だったのか…私の杞憂ならいいんだが、変な胸騒ぎがしてね。で、ここへ来たって事だ」
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