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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第38章 気になる存在、及川楓
合コンか…オレは大学生だけどまだ一度も合コンなんかに参加したこと無い。

「でもカギ忘れたって、古賀くん一人暮らしなの?」

「いや、まだ実家で母親と暮らしてるけど…」

何だかしどろもどろになってないか、オレ?

「じゃあお母さんに連絡すればいいじゃない?」

ごもっともだ。

「…あぁ、それがオフクロ旅行に行って帰ってくるの明日なんだよ。ヤベー、どうしようって思ってここで一晩過ごそうと思ってね」

母親と父親代わりの人の邪魔しちゃ悪いからここへ来たなんて言えないしな。

とりあえずごまかした。

「お母さんで思い出したけど、古賀くんのお母さん、いつも着物姿で凄いキレイだったよね。
皆で言ってたんだよ【あんなキレイなお母さんがいて羨ましいっ】て」

母親は三者面談の時と卒業式にしか顔を出していない。

だが、母親の和服姿はかなりインパクトが強く、翌日教室内ではその話題で持ちきりだった。

オレは楓と暫く本棚の前で話し込んでいた。
しかも偶然に同じ大学の英文科だという事が分かった。

オレの経済学部と同じキャンパスだ。


オレと楓は立ち話をずっとしていた。

オレは全寮制の付属高校へ、楓は都内の女子高へ通い、今の大学へ入学したという事らしい。

母親以外の女とこんなに話をしたのは初めてじゃないだろうか?
いや、間違いなく人生で初の事だ。

こうやって同世代の女子と思わぬ形で出会い、話をするだなんて思ってもなかった。

及川楓…オレにとって気になる人物、いや、気になる女性が現れた。


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