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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第42章 楓と初デート
自分でも驚く程、強引な誘い方をした。

今までこんな事、LINEでも送った記憶が無い。

それだけ今朝の件にオレは腹を立てていた。

少しムシャクシャしていたせいもあった。

楓は無言のまま弁当を食べている。

…やっぱダメか。少し調子にのり過ぎたかもな。

楓は自分とオレの弁当箱を袋に入れ、バッグに入れた。

そしてうーん、と少し伸びをして、空を見上げた。

「ホント、いい天気だね。…いいかな、今日ぐらいは」

楓は立ち上がり、オレの手を引っ張った。

「…ん?」

「行こう、どっかに」

楓の笑顔が眩しかった。

「マジで?大丈夫?」

誘っておいて、大丈夫?なんて言うオレも少し変だ。

「いいじゃん、たまには。どこへ行く?」

そう言われてるとどこに行こうか迷う。

「じゃあ、とりあえず学校出て駅前に行ってみようか」

「うん」

オレの誘いに楓が頷いた。

何故だかドキドキしてきた。

(これって、もしかしてデートってヤツかな…あ、そうだ、ヒロトに弁当渡したんだ!ったくめんどくせぇな、わざわざ弁当箱取りに行くなんて…)



「あ、じゃあ、先に門の前で待っててくれる?オレちょっと用済ませてくるから」


「うん、わかった」

ヒロトはもうあの弁当を食い終わった頃だろう。

オレは楓を一人残し、食堂に向かって歩きながらヒロトにLINEした。

【もう食い終わった?】

【うん、弁当スゲー美味かったぜ、ありがとう(頭を下げるスタンプ)】

【オレ、まだ調子悪いから今日はこれで帰るわ。まだ食堂にいるのか?】

【何だよ、そんなに具合悪いのかよ?まだ食堂にいるけど】

【じゃあ今から弁当箱取りに行くから、待っててくれ】

【(OKのスタンプ)】
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