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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第52章 古賀くんとなら、付き合ってもいいよ…
「いや、及川は払わなくていいよ。オレ、すぐに戻ってくるから、先に入ってなよ。外は寒いから、中で先に一杯飲んでていいよ」

「良くないよ、それじゃ古賀くんがかなりお金使うでしょ?何だか申し訳なくて…」

いや、金の事なら心配しなくてもいいんだが…
楓は居酒屋の前で、中に入らず、オレの懐事情を気にして、下を向いてる。

どーすっかなぁ。

「じゃ、今度及川が払ってよ。それかもしくはオレと付き合ってくれればいいや、アハハハハ!」

…あ、つい軽いノリで変な事口走ってしまった…

バカかオレは?もしかして酔ってるからこんな事言ったのか?

「…」

また沈黙だ。
楓はずっと下を向いたまま、黙っている。

余計な事、言うから楓が返答に困ってるじゃないか、何てオレはバカなんだろ…

「…いいよ」


……………えっ?

今、いいよって聞こえたような…

「私、古賀くんとなら付き合ってもいいよ…」

楓が恥ずかしそうに下を向いて、ボソッと呟いた。

「あ、え?…あの。じゃあダッシュでコンビニに行くから中で待ってて!」

オレは脱兎の如く、物凄い速さで階段を駆け上がり、ラッシュアワー時の駅の通路で素早く人を避けながら走り、反対側のコンビニに入り、三万程の金を下ろした。オレは舞い上がって、今までこんなに速く走ったのは初めてじゃないだろうか、という程、速く走った。

その金をポケットに突っ込み、またダッシュで階段を駆け上がり、居酒屋の中へ入った…

自分でも信じられない程の速さで元の場所に戻って、息も切らさず、居酒屋の中へ楓が待つ席に入って行った。

…オレ、ついに彼女が出来た!

ついにこの瞬間がやってきた!

オレの遅すぎる春が到来した…


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