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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第54章 あなたの相手が務まるのかしら?

床に倒れ込む母親は、フフッと不敵な笑みを浮かべた。

「…そう。あなた彼女が出来たのね…でもその彼女、あなたの相手が務まるのかしら」

「は?何が務まるって?とにかくもう、親子でこんな事するのは止めにしよう、それじゃ行ってくる」

オレは急いで支度を整え、母親を尻目に家を出た。

この時は母親の言ってる意味がサッパリ分からず、何ワケの分からん事をほざいてるんだ、としか思わなかった。

エレベーターに乗り、1階のエントランスでオレは風呂も入らず、歯を磨かずに寝てしまった事を思い出した…

こりゃ酒臭いって言われそうだな…

オレは駅前のコンビニで強烈なミント味のタブレットを買い、いっぺんに数粒口に放り込んだ。

…ゲッ、口の中がヒリヒリする。

吐き出したくなる程、強烈なミントの刺激で口の中が麻痺してる。

だが、少しでも酒臭い匂いを消すにはこれしかないし、ついでに眠気を吹き飛ばしてくれた。

楓は酒臭くないようにしてるのかな?

そりゃ女子だから、上手くごまかすだろう。

そんな変な事を考えながら、電車に乗った。

口の中が麻痺したまま、満員の中で、オレは周りに酒臭くないか、そんな事ばかりを気にしていた。
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