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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第58章 終電に間に合わない
楓は楓で、たまにはお酒を飲むデートをしたいらしいが、いつもオレが車を運転しているせいで、自分だけ飲むのは申し訳ないと思い、我慢しているみたいだ。
「たまには電車で出掛けようよ。それならお互い飲めるでしょう?」
楓の提案で、今日のデートは電車に乗って都内の歓楽街で映画を観に行く事にした。
洋画のラブストーリー物だが、オレは退屈過ぎて途中で寝てしまう程、面白くも何ともない。
楓はスクリーンに釘付けになり、目をウルウルさせていたが、こんな映画のどこが良いのかサッパリ分からん。
オレとしてはアクション物とか、ハードボイルドみたいなストーリーならいいんだが…
映画を観終わって外に出ると、既に空は薄暗くなっていて、夕陽が徐々に姿を消す頃だった。
「いや~、もう感動した!あのシーンで泣いちゃったからメイクが崩れてないかな?」
楓の顔をジッと眺めた。メイクは崩れてないが、目は赤く、泣き腫らしていた。
「メイクは崩れてないけどさぁ、スゲー目が真っ赤だぞ。
いかにも《私今ワンワン泣いてました》ってな目になってるよ」
「うそっ?」
「ホントだよ。何ならどっかの店に入って手洗い場の鏡でも見てみればいいよ」
そんなに泣くような映画だったのか?
ほとんど寝ていたから、何の内容なんだかさっぱり分からないし、知りたくもない。
やっぱこの辺が価値観の違いなのか。
「うん、じゃあお店に入って確認するから、早く入って飲もう」
急にパッと明るい表情に変わった。
無類の酒好きで、夢見るメルヘンな女子ってのも、何だかギャップがありすぎだろ…
オレと楓は手を繋ぎながら、繁華街を歩き、どの店にしようか迷っていた。
すると、看板には【完全個室 隠れ家的居酒屋】と書いてある。
個室ってのがいいな。
チェーン店の居酒屋だと、周りが騒がしくて、ろくに話も出来ない。
「ここにしない?個室だから周りはうるさく無さそうだし、話が出来るから」
「…うん、そうだね」
その看板の置いてあるビルの階段を上り、二階に入り口があった。
中は幻想的な明かりが灯り、建物の中央が中庭のようになって、竹がライトアップされていた。
「いらっしゃいませ、二名様でよろしいですか?」
「たまには電車で出掛けようよ。それならお互い飲めるでしょう?」
楓の提案で、今日のデートは電車に乗って都内の歓楽街で映画を観に行く事にした。
洋画のラブストーリー物だが、オレは退屈過ぎて途中で寝てしまう程、面白くも何ともない。
楓はスクリーンに釘付けになり、目をウルウルさせていたが、こんな映画のどこが良いのかサッパリ分からん。
オレとしてはアクション物とか、ハードボイルドみたいなストーリーならいいんだが…
映画を観終わって外に出ると、既に空は薄暗くなっていて、夕陽が徐々に姿を消す頃だった。
「いや~、もう感動した!あのシーンで泣いちゃったからメイクが崩れてないかな?」
楓の顔をジッと眺めた。メイクは崩れてないが、目は赤く、泣き腫らしていた。
「メイクは崩れてないけどさぁ、スゲー目が真っ赤だぞ。
いかにも《私今ワンワン泣いてました》ってな目になってるよ」
「うそっ?」
「ホントだよ。何ならどっかの店に入って手洗い場の鏡でも見てみればいいよ」
そんなに泣くような映画だったのか?
ほとんど寝ていたから、何の内容なんだかさっぱり分からないし、知りたくもない。
やっぱこの辺が価値観の違いなのか。
「うん、じゃあお店に入って確認するから、早く入って飲もう」
急にパッと明るい表情に変わった。
無類の酒好きで、夢見るメルヘンな女子ってのも、何だかギャップがありすぎだろ…
オレと楓は手を繋ぎながら、繁華街を歩き、どの店にしようか迷っていた。
すると、看板には【完全個室 隠れ家的居酒屋】と書いてある。
個室ってのがいいな。
チェーン店の居酒屋だと、周りが騒がしくて、ろくに話も出来ない。
「ここにしない?個室だから周りはうるさく無さそうだし、話が出来るから」
「…うん、そうだね」
その看板の置いてあるビルの階段を上り、二階に入り口があった。
中は幻想的な明かりが灯り、建物の中央が中庭のようになって、竹がライトアップされていた。
「いらっしゃいませ、二名様でよろしいですか?」