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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第58章 終電に間に合わない
だが、オレと楓は帰りが反対方向だ。

すると楓の口から思いもよらない事を言ってきた。

「そう言えば、友達が終電無くなって、どうしようと思って、周りを見たらホテルばっかだったんだって。で、ホテルに入る前にコンビニでビールとか買ってきて部屋で飲んで朝まで過ごしたって聞いたけど…」

「ホテルって、もしかしたらラブホ?」

オレは一瞬良からぬ思いが頭をよぎった。

ラブホに楓と一緒に入るという事は…そうなるよなぁ、勿論。

「二人のタクシー代と比べたらそっちの方が安上がりだし、オレは大丈夫だけど、楓は大丈夫なの?親とか何も言わないの?」

楓も実家住まいだし、ましてや娘が朝帰りだなんて、両親は心配するだろう。

「ウチね、親は別々に暮らして、お父さんは一緒に住んでるんだけど、夜の仕事して、今はちょうど仕事中じゃないかな。
お母さんとは別居してるんだけど、近くに住んで、お婆ちゃんの介護してるから。
だから特に問題はないよ」

付き合い出して色んな話をしたけど、楓の家の事なんか一度も聞いた事が無かった。

成る程、どの家庭にもそれなりの事情があるのか。

その時、また良からぬ事が頭をよぎった。

もしかしたら、今夜楓とラブホで…

俄然ヤル気が沸いてきた。
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