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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第59章 こういうとこ、初めてだから…
確かこの建物の裏通りはホテル街のはず。

ってまさか楓からラブホに行こうだなんて思ってもいない展開だ。

ラブホに行くって事は…そういう事になるよな、フツーは。

オレはあの時以来、キスをしていない。

また拒否されるのもイヤだし、手を繋ぐぐらいで止めている。

終電も無くなったし、行くしかないのか。

ましてや誘ってきたのは楓だ、それに応えなければならないのかな。

会計を済ませ、外に出た。

「うゎっ、スゴい寒~い」

いつも思うんだが、そんなに寒いなら短いスカートなんて履かなきゃいいのに…

オレと付き合い始めてから楓はニーハイを履かなくなった。

もっぱら黒のストッキングで美脚を披露している。

「目の前にインターネットカフェあるじゃん。ここじゃダメなの?」

居酒屋の向かいにはインターネットカフェがあって、マンガも読めるし、ラブホよりはマシだろう。


「えぇ、だってネカフェって確かアルコールの持ち込み禁止じゃなかった?まだ飲み足りないし、ホテルでいいじゃん」

オレもネカフェには行くつもりは無い。
だが、念を押す為に敢えてネカフェはどう?と聞いただけだ。

もし、楓が「うん」と言ったらネカフェで一晩過ごす事になっただろう、しかも悶々としながら。

そうと決まれば行くしかない。

裏路地に足を踏み入れると、とても住宅街ではありえない建物ばかりが並んでいた。

お城のような造りや、インテリアデザイナーが手掛けたようなモダンな建物が軒並みに建ってある。

どこにしようか?

「あっ!」

急に楓が声を上げた。
やっぱり私、無理!とか言うんじゃないだろうな?

「その前にコンビニ行こうよ。ビールとか買って中で飲もう?」

もう、チンカチンカの冷やっこいルービーはいいだろ!

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