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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第14章 好きになったら血の繋がりなんてどうでもいい
そう言い残してオレは玄関のドアを開け、バタン!と少し乱暴にドアを閉め、逃げ出すかの様に足早に母親のマンションを後にした。


好きになったら親子だろうが、何だろうが関係ない…

オレは帰りの電車の中で、ドア越しに映る住宅街を見つめながら、母親がまさかそんな事を言うなんて思ってもなかった。

以前から他の母親と比べて少し違うとは思っていたが、タブーを犯す事に何のためらいも無い…

ふと、車内の乗客を見渡した。

家族連れで席に座って、小さな女の子が父親と何かを話していた。

そして反対側の席では男の子に席を譲って、つり革に捕まって立っているお母さんが優しげな笑みを浮かべ、息子を見ている。

そうなんだ、これが本来の親子の姿なんだと。
思えばあんな年頃に母親とどこかへ行ったという記憶が全く無い。
物心ついた時から母親は水商売の仕事をしていたし、昼間は寝てるか、他の男と裸で抱き合っていた事しか思い出が無い。そうなんだ、ウチの家庭は他の家庭とは違うんだ、そう思っていた。
それが更に度を越えて近親相姦だなんて…


それに比べて、オレと母親は何て汚れた関係なんだ、あの家族達を見ていてオレは自分の存在が恥ずかしくなった。

(母親とヤッてるバカ息子…)

そんな声が聞こえてるかのような錯覚さえ感じる。

もうダメだ、あのマンションには2度と来ない。オレは受験生だ、勉強が第一であり、あんな事は勉強の妨げにしかならない。
最寄りの駅に着き、ドアが開いた瞬間、一番早く降り、改札を出て信号を渡り、コンビニに入った。

学校に通う以外はどこにも出ないで缶詰め状態になって勉強しよう、そう思い、夜食代わりになる物なら何でもいい、パンやおにぎり、カップラーメンやレトルトのカレー等、とにかく色々と買い込んでマンスリーマンションに着いた。

部屋に着き、着替えもそこそこに、すぐに参考書を広げ、勉強を始めた。

受験まで残り僅か、絶対に合格しなきゃならない。
オレに不合格は許されないのだ、そう自分に言い聞かせ、ひたすら机に向かい、問題を解いていた。
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