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第22章 ふざけんな、このヤロー！

川田という上級生の話を詳しくすると、宇棚繁は三年前にこの学校に入学した。

だが、この学校は大学付属の高校で学力も高い。
見るからに学力の低そうな宇棚が何故この学校に入学できたのか？

それはこの学校の理事長と宇棚の父親が旧知の仲で、宇棚の父親は静岡で表向きは貿易会社を営んでいるが、裏ではかなりブラックな存在で、貿易と言っても、とても法では認められない物を裏ルートで海外から輸入して、売買を行ってきたらしい。

この理事長とは、その売買をしている顧客で、どんな物を扱っているのかは不明だ。

だが、法に触れるような物というからには、危険な物に違いない。

宇棚の父親と理事長は取引の関係からいつしか飲み仲間となっていた。
その頃宇棚の父親は息子の繁がもうすぐ高校受験だというのに、ろくに勉強もせず、部屋にこもってゲーム三昧の日々を送っている事に頭を痛めていた。

三者面談では、とてもじゃないが、この学力では入る高校は無いと言われ、困り果てた宇棚の父親が理事長に相談を持ちかけた。

ブラックな取引をする間柄故に、宇棚の父親は理事長にブラックな入学の話を持ちかける。

それは裏口入学だ。

だが、理事長はあまりの学力の低さにとてもじゃないがウチの学校では無理だ、と断った。

宇棚の学力は県内でもワーストクラスで、県内では入る高校すら無いと言われた程だ。

まともにコミュニケーションすら取れない宇棚が進学校に入学したところで進級は出来ない。

最初は無理だと理事長は断った。
だが宇棚の父親は息子の将来を案じ、何年かかってもいい、費用がいくらかかってもいいから息子をこの際全寮制の高校に入れ、親離れした生活をさせれば、少しはまともになっていくだろうと思っていたらしい。

となると、理事長一人だけの問題では無くなってしまう。