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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第23章 やや憂鬱な夏休み
宇棚のユーレイ騒動からしばらくが経ち、一学期の終業式を終え、明日から夏休みに入る。

オレにとっては宇棚のユーレイよりもタチの悪い顔を合わせなければならない。

母親の事である。
夏休みに入ったら帰省するという約束をしてしまったが、気が引けてしまう。

既に新しく就任した寮長には夏休みの間、実家に帰省するという申請をして許可を得ていた。

カズやヒロトも夏休み期間中は実家に帰ってのんびりすると言って、終業式が終わると真っ先に帰省の準備をして、寮を出ていった。

「じゃあなリョースケ、二学期にまで実家でのんびりしてこいよ」

「おれも実家に帰ってゆっくりするから…ま、またなリョースケ」

久しぶりに実家に帰る嬉しさか、カズもヒロトもいなくなったこの308号室の部屋はオレ一人になり、ガラーンとした広さに感じる。

実家に帰らなきゃならないのか…

またあの母親と一緒に過ごす淫らな日々…
オレはギリギリまで帰るかどうか迷った。

だが約束は約束だ。それにまた関係を持とうと母親が迫ってきたらその時はさっさと寮に戻ればいいだけの事だ。

先ほどおじさんから連絡があって、車で学校まで迎えに来るという事で、オレは部屋でおじさんが来るまでベッドでゴロンと横になって待っていた。

それから30分程経った頃、スマホの着信が鳴り、寮の前に着いたというおじさんの連絡を受けてオレは荷物を持って部屋を出た。

玄関までに行く途中に寮長の部屋があってオレは寮長に挨拶を済ませた。

新しい寮長は小久保(こくぼ)という名前で、以前のようなオヤジみたいな中年の人ではなく、30代半ばでここの卒業生だと言った。

年齢が近い分、話もそこそこ合い、趣味で総合格闘技のジムに通っている、見た目は20代と間違える程若く、顔も涼しげな目元にシャープな輪郭、少し茶髪にして、ヘアスタイルもナチュラルなサラサラヘアで、寮長というよりは、気の良い兄ちゃんみたいな存在だ。

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