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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第30章 愛欲に満ちた夏休みが終わり…
そうこうしているうちに車は高速に入り、都会的な街並みや高くそびえ立つビルの風景から徐々にのどかな自然な風景へと変わっていく。

同じ東京都なのに、こんなにも都心とは違うのか…

いつもこの高速を通る度に思う。

高速は渋滞もなく、運転手のハンドル捌きでスイスイと走り抜けている。

決してスピードを出してるワケじゃないが、車の免許なんてまだ先のオレには、この人の運転がかなり上手なんだろうと思えた。

そんじょそこらのタクシーの運転手より上手だ。

そして約一時間程で寮の前に到着した。

寮が近づくにつれ、頭の切り替えというか、スイッチが入れ替わったかのように、母親との愛欲に耽った夏休みから、ヒロトやカズとまた一緒に生活するのか、と思ったら不思議と母親の事は徐々に頭の中から消えていった。


オレはドアを開け、荷物を取り出した。

おじさんも助手席から降りて、懐から茶色い封筒をオレに渡した。

「えっ、おじさんお金なら入学した時にも貰ったし、そんなにお金使わないから…」

封筒の厚さで数十万は入っている。

「じゃあそのお金は貯金しなさい。必要な時にだけ使えばいい。ただ無駄遣いはするなよ」

口角を上げ、フッと笑みを見せておじさんはまた助手席へ座り、車は発進した。

サッと来て、サッと帰る…

おじさんカッコ良いな!

…なんで邪魔者扱いしたんだろ。



それよかこの荷物を早く部屋に持っていこう。

ヒロトもカズももう部屋に戻ってるはずだ。

明日から2学期がスタートする。

寮生活も小久保さんが寮長になってから、フランクに話せるようになったし、寮生活って案外楽しめるもんなんだな、オレは駆け足で階段を上り、308号室へ戻ってきた。
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