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第4章 シーン　4

今日はこんな気持ちになるために来たのじゃなかったのに。大輔から言われてきたけれど、あたしはあたしで楽しもうと思って来た。さっきまでは楽しかった。大輔と一緒に居る時とは違う楽しさに胸がときめくような気持ちだったのに、今は胸の奥に大きな塊が降りて来ている。こんなこと口に出さなければ良かった。ここまでの楽しい時間の積み重ねが全て消え失せてしまった気がする。
突然彼が抱きしめて来た。強い抱擁だった。セックスの欲望の滾った行為ではなく、ただただ切ない狂おしいばかりの感情を自分で抱き締めているかのように、一言も言葉を発することなく抱き締めていた。あたしの中の彼に対する感情も、彼に抱き締められたままなぜか悲しみの中で大きく膨らんでいった。
あたしは風間さんも大輔も両方に自分を偽っている。本当に悪いのはあたしなのだ。避けては通れない壁の前で足掻いているあたしの姿が脳裏に浮かび上がっていた。