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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】 再生
出逢って四年、自分たちはいつしか、言葉を交わさずとも互いの気持ちを伝え合い、理解し合えるようになっていたのだ。
「灯籠を取ろうとしていました」
「和魂祭はもう終わったのだろう?」
「今日は私だけのお祭りです」
明姫が言うと、ユンは回廊まで行って手近な灯籠を一つ取った。ユンからそれを渡され、明姫は硯と筆を取り出し、灯籠の正面に願い事を記す。
「本当はこう書こうと思っていたのですけれど」
と、背伸びして上背のあるユンの耳に囁く。
―あなたに逢いたい。
刹那、ユンの端正な顔が泣きそうに歪んだように見えたのは気のせいだろうか。
「灯籠を取ろうとしていました」
「和魂祭はもう終わったのだろう?」
「今日は私だけのお祭りです」
明姫が言うと、ユンは回廊まで行って手近な灯籠を一つ取った。ユンからそれを渡され、明姫は硯と筆を取り出し、灯籠の正面に願い事を記す。
「本当はこう書こうと思っていたのですけれど」
と、背伸びして上背のあるユンの耳に囁く。
―あなたに逢いたい。
刹那、ユンの端正な顔が泣きそうに歪んだように見えたのは気のせいだろうか。