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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス)
ユンが半身を絹の褥に起こすのを見計らっていたかのように、黄内官が足音も立てずに近寄ってきた。本当に影が移動するようで、この男であれば、気配すら消せるのではないかと常々、ユンは思っている。
が、現実として、内官は〝王の影〟といわれているように、終始影に徹さなければならない。それは生涯を誰にも嫁げず後宮で終え、〝飛べない鳥、人知れず咲く花〟とたとえられる女官の宿命にも似ていた。
男として生まれながら、早くに去勢して男性機能を失う内官。〝国王の女〟として王の所有物だと考えられる女官。どちらもが国王に生涯、忠誠を捧げ続けて終わるのだ。
が、現実として、内官は〝王の影〟といわれているように、終始影に徹さなければならない。それは生涯を誰にも嫁げず後宮で終え、〝飛べない鳥、人知れず咲く花〟とたとえられる女官の宿命にも似ていた。
男として生まれながら、早くに去勢して男性機能を失う内官。〝国王の女〟として王の所有物だと考えられる女官。どちらもが国王に生涯、忠誠を捧げ続けて終わるのだ。