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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
外に出てみると、春の陽はかなり傾いていた。だが、まだ帰らねばならない時間には間がある。明姫はもう少しだけ、この男と一緒にいたかった。
しばらくは二人並んで無言で歩いた。沈黙が次第に息苦しくなり始めた頃、男が唐突に口を開いた。
「本当なら、そろそろ、そなたを宮殿に送ってゆかねばならない時間だろうが、不思議だ。何故か、そなたとこのままずっと一緒にいたいと願う自分がいる」
どうやら、男も明姫と同じことを考えていたようである。明姫の心に小さな希望の灯りが灯った瞬間であった。
「時間はまだ大丈夫か?」
「尚宮さまには陽暮れまでに戻れば良いとお許しを頂いているから」
しばらくは二人並んで無言で歩いた。沈黙が次第に息苦しくなり始めた頃、男が唐突に口を開いた。
「本当なら、そろそろ、そなたを宮殿に送ってゆかねばならない時間だろうが、不思議だ。何故か、そなたとこのままずっと一緒にいたいと願う自分がいる」
どうやら、男も明姫と同じことを考えていたようである。明姫の心に小さな希望の灯りが灯った瞬間であった。
「時間はまだ大丈夫か?」
「尚宮さまには陽暮れまでに戻れば良いとお許しを頂いているから」