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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
「では、もう一刻はあるな」
 男は空を見上げてから、〝行こう〟と足を速めた。
「今度はどこに行くの?」
「私の家だ」
 家というから、お屋敷なのかと内心焦ったのだけれど、かなり歩いて案内された先は先刻のあばらやよりは幾分マシといえるほどの小さな家であった。
 男は家に入ると、少しの間、鼻をひくつかせていたかと思うと、顔をしかめた。急いで二つついている小さな窓を開けている。
「やはり、長らく訪れないと、ほこりっぽいな」
「ここに―住んでいるの?」
「いや」
 男は短いながらも、きっぱりと否定した。
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