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遠い日の約束。
第3章 言い伝え
どんなに恥ずかしいことを口にしているか自分でも分かってる。
だけど言わずにはいられなかった。
それに…私が彼を欲していたから。
そんな私の勇気を簡単に消し去ってしまう。

「やめておこう…」

触っている手を優しく握りし締めて優しく告げる。
だけど、そんな優しさは欲しくない…
今欲しいのは……

「どうしてダメなんですか…こんな事を言う女性ははしたなくて嫌いですか…」

見返してくる瞳が揺れ、顔が歪むのが分かる。
やっぱり、女性からねだるのは浅ましくて下品なことなのだろうか。
春まで一緒にいてくださいと言われて、心が近づいたと思ったのは私だけなのか。
悲しくなり、涙が零れそうになったから視線をはずして顔を背けた。
そんな私の涙を拭い、彼は言う。

「うれしいよ…華に求められて嬉しくないはずがない」

「だったら」

うれしいと言われて顔を上げて俊樹さんを見上げれば、真っ直ぐな瞳とぶつかり、困ったような顔をして笑う。

「何も…用意してきてない…華を傷つけることはしたくない」

それが何を意味するのか分かる。
私の為に我慢してくれているのだと思うと、それだけでうれしかった。

「私…子供ができにくい身体なんです…だから…なくても大丈夫です」
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