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遠い日の約束。
第4章 本当の気持ち
「お前…こんなところで飲みやがって…」

振り返ってみると、真後ろに春馬が立って険しい顔をしていた。
どうしたの?と顔を傾けてみると私の手から日本酒を取り上げて一口飲む。

「…まぁ…これなら大丈夫か…。大将、俺には…そうだな、辛口で何かおすすめある?」

空いている隣の席に座りながらおすすめを聞いた。

「辛口がお好みでしたら…福岡のお酒なんていかがですか?三井の寿大辛口純米吟醸」

カウンターの上に一升瓶をどんと置く。

「福岡で日本酒?九州は焼酎のイメージだよな…」

「焼酎は宮崎鹿児島の方ですね。そのイメージが九州全体に広がっているだけで、福岡や佐賀には良い蔵があるんですよ。東一も佐賀ですしね。」

「あ~…東一ね…それは知ってる。じゃあ、それ貰うよ」

私の知らない話を楽しそうに大将としながら飲むお酒を決めたようだった。
並々注がれた日本酒が出てくると私のグラスとカチリと合わせて一口、口にする。

「飲みやすくて良いね…」

「ありがとうございます」

春馬が気に入ったのが嬉しいのか、大将の顔が綻んだ。

「相変わらず、日本酒好きね」

「まぁな…」

チビチビと飲みながら春馬は何も話さなかった。
ただ遠くを見てグラスを口に運ぶ。
その横で私も何も話さず食べていた。
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