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遠い日の約束。
第4章 本当の気持ち
俊樹さんが部屋から出ていき、身体を起こしコートを抱きしめ、今起きたことを考える。
あのまま正気に戻らなかったらと思うと身震いがした。
何がそこまで俊樹さんを追い詰めたのか考えても分からなかった。
ただ分かる事は、いつも優しい俊樹さんはどこにもいなかったということ。
ただ雄と化した男がひとり目の前にいた。
どちらが本当の俊樹さんなのか…分からなかった。
だけど、今まで一緒にいてくれた優しい俊樹さんもきっと作り物じゃないと思った。
いや…思いたかった。
何かきっと理由があるのだと今の俊樹さんの行動を正当化しようとする私がいるこに驚いた。
考えもそこそこにして、散らばっている服の中からパジャマを取り着替えて、ベッドの中に潜り込んだ。
今日は抱きしめてくれる腕がない。
キスをしてくれる人がいない。
それは俊樹さんと一緒に暮らすようになって初めての事で不安と寂しさが溢れ出す。
それでもお酒が入っている私は簡単に夢の世界に落ちていく。
ずっと見なかった夢。
ずっと忘れていた夢。
久しぶりにその渦の中に落とされて行った。
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