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遠い日の約束。
第4章 本当の気持ち
─…
──…
───…
ポツンと私は一人立っていた。
何もない真っ白な世界。
声をあげても、それは木霊となり、どこかに吸い取られて消えていく。
動こうとしても根がはったかのように足が動かない。
「…た…す…けて…」
恐怖から涙が零れ始めた。
誰もいない世界に1人は嫌だ。
私を一人にしないで。
フッと手が温かみを感じた。
手を見ても何もない。
ただじんわりと暖かさがつたわるだけ。
それは、ずっと前から知っている温もり。
そう…ずっと昔から私の手を握り取ってくれる…愛しい人の手…
「あっ…」
いつの間にか、私の足元は私の涙で埋め尽くされていた。
それは次第に増えていき私を飲み込みそうな勢いだった。
「やっ…いやだ…ひとりで死にたくない…」
死の恐怖に怯え、怖さで涙が止まらない。
そして、水位は増していくばかり。
それが自分の涙だと分かっていても涙が止まることはない。
怖くて怖くて震えながら、もがき苦しむ。
つま先立ちになって涙の湖から顔だけを出して息をする。
「ハァハァハァ…たす…たすけ……」
涙が私の口の入ってきて息苦しくなる。
もうだめだ…
もうこれ以上は…だけど死にたくない…こんなところで一人で死ぬのは嫌だ…誰か…助けて…誰か…
完全に湖の中に沈み、もがきながら誰かの名前を必死に呼ぶ。
たすけて…たすけて…たすけて…たす…け…て……
『―――』
遠い場所から人の声が聞こえた。
懐かしい、そして私の愛した人…
だけどもう…無理…
私は死ぬの…
ひとりで死ぬの…
『――な!!』
徐々に近くなる愛しい人の声…
やっぱり私は死にたくない…
まだあなたに「愛してる」って伝えてない。
たすけて…たすけて…たすけて…
『華!!』