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遠い日の約束。
第4章 本当の気持ち

─…

──…

───…

「華!!」

耳元に俊樹さんの声が届いた。

「俊樹…さん…」

私が名前を呼べばほっとした表情を浮かべた。

「私……」

何かを喋ろうとしても言葉が出てこない。
言葉の代わりに涙が零れだす。
そんな私を力強く抱きしめてくる。
その温もりが、夢の中で感じた手の温もりと重なる。

「ひとりにするべきじゃなかった…何があろうと抱きしめて寝るべきだった…ごめん…怖い夢をみさせて…ごめん…」

「私…」

ギュッと俊樹さんに抱き付いて震える身体を押し付ける。
必死に恐怖から逃げるかのようにしがみついた。

「大丈夫…ここにいるから…絶対に手を離さないから…安心して…」

何度も何度も、安心する言葉をくれる。
俊樹さんの温かさと、暖かい言葉で少しずつ私の心は落ち着いて震える身体もおさまっていく。

「夢…覚えてた…」

やっと口にした言葉だった。

「いつも、起きたら忘れてしまうのに…今日は覚えてる…」

また、キュッと俊樹さんの服を握りしめた。

「どんな?」

背中に回っている手が背中を擦る。

「何もない場所にいた…真っ白で何もない…怖くて怖くて私は泣くの…その涙が足元にたまり湖を作っていく…どんどんたまり私を沈めていく…息も出来ないほど深く深く…必死にもがくけど足が地面に根がはったように動かなくて…死を覚悟した…。…水なんて嫌い…水は私を殺すの…水は私を殺しに来る…」

そう、水は私を殺しに来る。
何度だって水は私を殺す…
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