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遠い日の約束。
第4章 本当の気持ち
「大丈夫…華が水の中でもがき苦しむのなら、私が引き上げてあげる。どんな場所に居ても引き上げて助けてあげる。だから…」

擦っている手を止めて私の顔を覗き込み真剣な…でも優しい表情で言葉を紡ぐ。

「だから、私の名前を呼んで。苦しくなったら私の名前を呼んで。そしたらきっと助けに行く。」

その瞳に引きずられるように、私は頷いた。
夢の中で私を呼ぶ声…それは俊樹さんの声だった。
死を覚悟して沈みゆく最後に聞こえた声は確かに俊樹さんだった。

「迷惑…じゃない?」

「迷惑じゃない。呼んでほしい…ひとりで苦しむ姿は見たくない…いいね。必ず呼ぶんだよ」

コクリと頷いて、また俊樹さんに抱き付いた。
どうしてそんなに優しくしてくれるのか。
まだ彼の口から『好き』『愛してる』の言葉を聞いていない。
だけど、今はまだいいとさえ思ってしまう。
この温もりが、その答えではないかと勝手に思い込んでいた。
もし違うと言われることを恐れて……
違うと言われたらきっと…私は生きていけない……

「まだ4時だから寝ようか」

顔を上げて時計を見るとまだ4時だった。
寝ていたのはほんの1時間足らずで、私の心は疲れ切っていた。

「でも…怖い…また同じ夢…見たくない…」

身体と心は休みたいと訴えているのに、寝ることに対しての恐怖が久しぶりに私を襲う。

「大丈夫。一緒に寝るから怖い夢は見ないよ。」

「本当?」

「ああ…怖い夢を見ないおまじない」

いつものように、触れ合うだけのおまじないのキス。
それだけで私は魔法にかかる。
もう怖い夢はみないのだと。
いつものように俊樹さんの腕に抱かれてベッドに横になる。
数時間まで寂しいだけの部屋が、今は心地よい場所へと変わる。
その温もりに包まれながら私は安心して眠りについた。
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