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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去
その後は何も話すことはなかった。
ただ、俊樹さんの手の温もりを感じただひたすら泣かないように我慢した。
プラットホームに新幹線が入ってくる。
ドアが開き、他の乗客は次々と乗っていく。
最後に俊樹さんに背中を押されながら新幹線に乗った。

「華…3日後迎えに行くから。それまで待ってて?」

私の頬に触れながら優しい瞳で語りかけてくる。

「まってる…」

ちょうど発車のベルが鳴り、頬に触れている手が離れていった。
そしてドアがゆっくりと締まった。
扉一つで引き裂かれた距離。
薄いようで厚い。
私と俊樹さんの距離のようだった。

「待ってるから」

聞こえないと分かっていても、心配かけないように笑顔で告げた。
だけどきっと笑えてない。
だって…自然と涙が零れ落ちていたから。
ドアの窓から遠のく俊樹さんの姿。
小さく小さく…そして見えなくなった。
暫くの間、ドアの前でたたずみ、トボトボと自分の席に向かい座った。
GW初日だからほぼ満席。
窓際を抑えている私は窓の外を眺めて寂しい心を隠す。
ここから新幹線で1時間。
そこで乗り換えてさらに1時間。
近いようで遠い実家。
そう言えば、俊樹さんはニューヨークには帰らないのだろうか。
両親とお兄さんが向こうにいると聞いた。
私のように簡単に帰れる距離ではないけど会いたいとは思わないのか。
それよりも、ご両親はどんな人何だろう。
俊樹さんみたいに温和な優しい人なのか、一度会ってみたいと思った。
GWに好きだと伝えて、その気持ちを受け止めてくれたら紹介してくれるだろうか?
考えてると大きなため息が出る。
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