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遠い日の約束。
第7章 囚われた過去
私は俊樹の両頬に手を添えて真っ直ぐに見据えた。
弱々しい瞳が私を捉え、力なく微笑む。
捨てられた子犬のようだと思った。

「最後の想い出じゃないよ。これから、ずっと想い出は増えていくよ?小さい俊樹が小さな私を助けようとしてくれたことはうれしかった。会ったら、ありがとうって伝えようと思ってた。誰も恨んでないし憎んでない。きっとお母さんたちもそう。感謝の心があっても憎む気持ちなんてない。」

「…おじさんたちに言われた…帰る前にふたりに謝ったら…同じようなことを言われたよ。『あの時は助けるために飛び込んでくれてありがとう。しゅうがいたから華は助かったんだよ』って言って…おばさんは泣いて抱きしめてくれた…」

あの短い時間の中で、謝る事ができたのだとわかると少しホッとした。
謝り許されることから、時間は進み始めるのだと思う。
あの時、謝る事ができなかった事を私に言えたことで止った時間が進んで欲しいと思う。

「でしょう?それが答えだよ。俊樹が気にすることはない。幼かったとはいえフラフラと歩いていった私も悪いんだし…。だからもう、そのことで自分を責めるのはやめて?じゃないと…私も辛くなる。ずっとそんな思いで生きてきたと分かって辛い。何も覚えていなくて幸せに生きてきた自分が悔しい。だから…もう終わりにしよう?過去に囚われるのはやめて…これからはふたりで幸せになること考えよう?」
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