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第8章 嫉妬と不安

「いや…いいよ。わざわざ会いに行くって言うなら嫌だけど…会社で会うからね。……夜じゃなければいいよ」

いつもと優しい言葉。
だけど一緒にいればいるほど分かるようになる。
些細な言葉のトーンの変化で俊樹の気持ちが分かるようになっていた。
だから無理してるのが分かる。
もし逆の立場ならきっと嫉妬してしまう。

「ごめん…やっぱり言わない…ごめんね」

フッと笑ったような気がした。

「私の事は気にしないで。ちゃんとこの家に帰ってきてくれれば良いから…華の行動は縛りたくはないからね。だからきちんと伝えておいで。」

「いいの？ふたりで会うの嫌じゃない？」

俊樹の腕の中から顔を離して彼を見つめた。
そこに相変わらず優しい瞳で私を見つめる俊樹がいた。

「つきあってるのを報告したいってことは、華にとって三宅さんは恋愛対象ではなくなったってことでしょう？華の方から言ってくれてうれしいよ」

そう言って、やさしく触れるだけのキスをして抱きしめてくれる。

「…でもね…やっぱり気にはなるかな…だから夜はダメだからね。」

つきあいだしてから、こうやって甘えてくれるようにもなった。
相変わらず、とても優しくて大きな愛情で私を包んでくれるのは変わらないけど、私にも弱いところ見せて甘えてくれるのはうれしかった。

「明日、春馬はずっと社内のはずだからお昼にでも話してくるね。」

「そう…私は朝から得意先回り…遅くなりそうだったら連絡いれるよ。そろそろ寝ようか？」

「だね。おやすみ」

「おやすみ」

いつものように、髪の毛に軽くキスを落として、お互いの温もりを感じながら眠りについた。