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遠い日の約束。
第8章 嫉妬と不安
俊樹の方をちらりと見れば、あまり良い顔はしていない。
許可はもらっても、あからさまに他の男とランチに行くのはやっぱり嫌なんだろう…。
普段は空気が読める春馬の行動に少し腹が立ち睨み返してみると、意地悪な笑いを返してくる。
その顔を見た瞬間、「やられた」と思った。
俊樹がいるのを分かってわざと煽るような事を言ってやきもちを焼かせようという魂胆だと嫌でも分かってしまう。
そういえば…あの飲み会の時に、俊樹が私の事を好きなのは間違いないからと断言していた。
何も進展がないと思い、出た行動だと分かっても、あの表情を見ると心が痛む。
時々見せる、捨てられた犬のような表情…あの表情をされると弱い。
だから行くのをやめたい気持ちになっていた。
別にふたりじゃなくても俊樹も交えて三人で行っても問題ないのではと思い始めていた。
だから仕事が始まる前に俊樹にLINEする。

『春馬に報告するの、今度にしない?俊樹も交えて三人で?』

目の前に座る俊樹のLINEが鳴る。
それをスライドして目を通し、私の方を見て微笑む。

『私の事は気にしないで行っておいで。どんな反応示したか帰ってから教えて』

返事が返ってきた。
もう、先ほどの表情はしていない。
いつもの穏やかな笑顔だった。

『わかった。仕事頑張ってね』

『華も仕事頑張って』

すぐさま返事が来て、俊樹はドタバタと外出した。
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