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遠い日の約束。
第8章 嫉妬と不安
今日は3件営業先を回ると言っていた。
その最後の会社が曲者で直ぐに飲みの席に俊樹を誘っていかがわしいお店に連れて行こうとするらしい。
それをどう回避するか、毎回悩みの種だと嘆いていた。
午前中は何の問題もなくスムーズに仕事がはかどる。
カタカタカタとキーボードを叩く音だけが響いていた。
そんな中、珍しく春馬の怒鳴る声が響いた。

「何やってんだよ!!今すぐ行くからそこで待ってろ!!」

ガシャンと受話器を叩きつけてイライラした表情で部長の所に行く。
そして部長の表情も険しくなる。

「草野。大和がドジッたらしい。とりあえず三宅と行ってくるから、あとのこと頼んでいいか?」

「社内の方は大丈夫ですけど…」

PCを閉じながら出かける準備を始めるふたりを見ながら言い淀む。
営業補佐で重要なことが起こることはない。
心配なのは大和さんの案件の方。
大和さんが受け持ってる案件って大きくなかった?

「こっちは大丈夫だ。あとは任せたぞ!!三宅行くぞ」

先に準備を済ませた部長が慌ただしく出ていった。
その後を送れて春馬が追う。
私の横を通り過ぎる瞬間に耳うちする。

「悪い…話はまた今度…連絡する」

耳元で告げられてゾワリとした。
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