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遠い日の約束。
第8章 嫉妬と不安
どこに行くのかと春馬の顔を見れば、春馬の手が私の髪の毛に触れた。
「静かな場所で話そうか」
前と変わらない瞳で見つめられ、心がドキンと跳ねた。
「話があったんだろう?酒が入った勢いで喋ればいいよ」
髪の毛を触っていた手が首筋に回り撫でられ、その手は私の手を握った。
久しぶりに感じる春馬の温かさにドキドキする。
数か月前までは、この手の温もりが一番大切だった。
この手にしがみつき、眠れぬ夜を何度も過ごしてきた。
あれほど狂おしくも愛していた春馬とふたりきりになると今でもドキドキすることに初めて気がついた。
気持は終わったはずなのにドキドキするのはなぜなのだろう。
今、一番大切なのは俊樹なのに…自分の心が分からなくなる。
チラリと春馬の顔を見ると少し酔っているのか、顔がほんのりと赤くなっていた。
そして外を眺めて私の方を見ようともしない。
だけど繋がれた手からは温もりは伝わり、昔みたいに安心する。
その手を解くでもなく握られたまま車は目的まで走る。
繁華街の中まで入り、あるビルで止まった。
春馬は無言で降りて、私の手を引いてそのビルのエレベータに乗り最上階のボタンを押した。
「静かな場所で話そうか」
前と変わらない瞳で見つめられ、心がドキンと跳ねた。
「話があったんだろう?酒が入った勢いで喋ればいいよ」
髪の毛を触っていた手が首筋に回り撫でられ、その手は私の手を握った。
久しぶりに感じる春馬の温かさにドキドキする。
数か月前までは、この手の温もりが一番大切だった。
この手にしがみつき、眠れぬ夜を何度も過ごしてきた。
あれほど狂おしくも愛していた春馬とふたりきりになると今でもドキドキすることに初めて気がついた。
気持は終わったはずなのにドキドキするのはなぜなのだろう。
今、一番大切なのは俊樹なのに…自分の心が分からなくなる。
チラリと春馬の顔を見ると少し酔っているのか、顔がほんのりと赤くなっていた。
そして外を眺めて私の方を見ようともしない。
だけど繋がれた手からは温もりは伝わり、昔みたいに安心する。
その手を解くでもなく握られたまま車は目的まで走る。
繁華街の中まで入り、あるビルで止まった。
春馬は無言で降りて、私の手を引いてそのビルのエレベータに乗り最上階のボタンを押した。