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遠い日の約束。
第1章 運命の出会い
男性は私の目の前に立ち心配そうな目をして気遣ってくれる。
そんな男性を見ながら気のせいではないと思う。
絶対に知っているとなぜか強く感じた。
それがどこだったのか思い出せないけれど、私の心は強くそう鳴り響いていた。
会話がないまま一時間程電車に揺られる。
乗り換えなしで家に帰れるのは今の私にとってありがたかった。

「私はここで降りますけど…帰れますか?」

私の降りる駅の2つ前の駅で男性は言葉をかけてくれた。

「はい…2つ先で降りますけど、駅から近いので大丈夫です…今日はありがとうございました」

失礼かとも思いつつ座ったまま御礼を言った。
そんなことは気にしていない感じで男性は降りて行った。
電車が出発して外にいる男性と視線がぶつかる。
そして彼は口を動かし優しく笑った。

『……けた』

男性が何を言おうとしたのか分からなかった。
最後の『けた』だけしか理解できなかった。
その言葉の意味を私はまだ知らない。
そこに隠されている本当の真実を私は思い出しもせず、感じることもせずに時を過ごすことになる。
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