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遠い日の約束。
第8章 嫉妬と不安
「さて、そろそろ帰るか…お前たちはどうする?」

「私たちも帰ります…」

春馬の一声でお開きになった。
財布を出そうとする私と俊樹の手を静して全てを春馬が払う。

「お前たちの門出なんだ。おごらせろ」

と、うれしそうに言った春馬の笑顔が忘れられない。
久しぶりにふたりっきりで会い、ドキドキもしたけれど、春馬はいつまでたっても春馬で、私の理解者であるのは別れてからも変わらないと分かった。
春馬が私の幸せを願うのなら、私も春馬の幸せを願いたい。
生まれてくる子供と幸せになれますようにと。
帰りは春馬とは別々のタクシーなのでビルの前で別れてそれぞれの家に向かった。
車内では俊樹の手がずっと私の手を握りしめている。
そこに言葉はない。
そこに居てくれさえすればいいのは、俊樹が良い。
マンションにタクシーが到着したのは深夜1時を回っていた。
この時間からお風呂に入るのは時間が必要なのでシャワーでいいかと確認する。

「俊樹、今日はシャワーでいいよね。」

その答えは帰って来ず、抱きしめられる。
ギュッと強い力で少し痛い…
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