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遠い日の約束。
第1章 運命の出会い
─…
──…
───…
薄っすらと目を開く。
最初に目に入ったのは、青白い顔と眉間に皺を寄せて心配そうにのぞき込む春馬の顔だった。
私は、ゆっくりと手を伸ばして春馬の頬に触れた。
「びっくりしたよ…」
絞り出すかのような一言。
自分の身に何が起こったのか分からなかった。
ただ、子供ができたと聞いて自分の心と身体では対処できない大きな何かがいきなり降って沸いたようなそんな感じだった。
だから心が悲鳴を上げた。
私はそんな風に感じていた。
「ごめんね…」
「いや…俺の告げ方が悪かったんだ…」
春馬はバツが悪そうに告げた。
そんな顔しないでほしい。
そんな辛そうな顔は見たくはない。
私は、いつだって笑顔の春馬を見ていたい。
「春馬…おめでとう。…子供と奥さん大事にしてあげて…」
私の言葉に春馬の顔が歪む。
「そんな…あっさり言うなよ…」
今にも泣き出してしまいそうな顔だった。
私の横たわるベットの傍で顔を突っ伏して大きな息を吐く。
それは溜息とはまた別の何か…
「正直…戸惑ってる。本当にここ何年も妻とは何もなかったんだ。けど、この前帰った時に…酔った勢いで…久しぶりに抱いた…。ごめん」
それは何に対しての謝罪なのだろうか…
分からなかった。
ただ、その子を大切にしてほしいと思った。