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遠い日の約束。
第1章 運命の出会い
「春馬…その子に罪はないんだよ。私の事は考えずに子供の事を一番に考えてあげて…」

どうして私は物わかりがいいのだろうか。
泣いて縋ればいいのにそれができない。
嫌われたくないから?
そうじゃない…
そうじゃないけど、なぜか子供が一番だと思う。

「私には…春馬の子供を産んであげることが出来ないの…春馬、子供好きでしょう?だったら何を悩むの?奥さんに愛情はなくても情はあるんでしょう?」

奥さんとの間に愛はないと言っていた。
愛情ではなく情だけだと。
幼馴染のように育った人だと聞いていた。
春馬の転勤が決まった時、一緒に来てほしいと頼んだが母親の介護が必要で土地を離れられないと単身赴任でやってきたのだと初めの頃に聞いていた。
そして私と出会った。
私を愛し慈しみ、本来なら奥さんに向ける愛情を私に注いでくれた。
もし…
もし、私と春馬が出会わなかったら?
もし、私と春馬が愛し合わなかったら?
今の状況を春馬は手放しに喜んだに違いなかった。
そう思うと…

また…私は人を傷つける…

「っごめんなさい…」

次に口から出たのは謝罪の言葉だった。
そして涙が止まらない。
次から次へと涙が溢れでる。
それは誰に向けての涙なのか、分からない。
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