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遠い日の約束。
第1章 運命の出会い

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───…

久しぶりに夢を見て泣くことはなかった。
けれど、昨晩は涙が枯れるまで泣いた。
そのせいか、頭も心もすっきりしている。
寂しいかと言われれば寂しい。
もう、あの腕に抱かれることがないのかと思うと寂しくて気が狂いそうになる。
けれど、子供ができた春馬に縋り付くことはできなかった。
これが私のさだめ…運命だと受け入れるしかなかった。
腫れぼったい瞳を化粧で隠し会社に出かける。
自分の席につくと、先に出社していた春馬と目があう。

「おはようございます。」

「ああ…おはよう…」

いつものように挨拶をすると、戸惑いながら挨拶を返しくる。
私は春馬に負担を掛けさせないように笑顔を向け、給湯室にお茶の準備をしに行く。
誰もいない給湯室に入れば、作り笑いは消え泣きたくなるのを必死に堪えてガスコンロの火をつけてお湯を沸かす。
その火をぼんやりと眺めていると、後ろから声を掛けられた。

「応接室にお茶を2つ頼むよ」

それは部長だった。

「わかりました。」

泣き顔を見られたくなくて、俯き加減で伝えても声の質で部長は気がつく。

「何かあったか?」

「大丈夫です…お湯が沸き次第、お茶…持っていきます」

それ以上、深く聞かれたなくない私は自分から話を終わりにした。
そんな私の気持ちを分かってくれたのか「無理するなよ」とだけ言ってフロアー内に戻って行った。
彼とのことがばれるわけには行かなかった。
ばれたら、春馬に迷惑がかかってしまう。
自分の手で頬を何度か叩いて気合を入れ、お茶をもって応接室に向かった。
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