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遠い日の約束。
第10章 記憶の破片
髪の毛を撫でている手が止まり、抱きしめている腕に力が入った。
知っていても昔の男と付き合って話は聞きたくないよね。
だけど一緒にランチしたり出勤したりしたいから告げようと思った。

「今ね。春馬とは社内でランチするし、駅で一緒になったら会社まで歩くの。昔、やりたくてもやれなかったことが別れた後は平気なの…それってね。つきあってることを秘密にしているから気になるだけであって、誰もみてないし、一緒に通勤したって「駅で一緒になったんだ」ぐらいにしか思わないと思うんだ。だからね。俊樹とも社内でランチしたり、駅について別々に来なくてもいい気がするの。だって同じ方角でしょ?」

俊樹は黙って私の話を聞いてくれていた。

「気持ちがなくなったから平気でできるかもしれないけど…俊樹とはそういうことやりたい。別に隠してるわけでもないし…私はバレてもいいよ」

俊樹の腕がギュッと私を抱いた。

「私もみんなにばれてもいいと思ってるよ。そっちの方が、安心だよ…」

「私も…総務の篠原さんや受付の早坂さんに牽制したい…あのふたり、まだ俊樹の事狙ってるから…」

「大丈夫…華以外に興味ないから」

俊樹の腕の中から顔を上げると、チュッとキスをされた
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