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遠い日の約束。
第10章 記憶の破片
飲み物を持って帰ると輪の中からそれぞれが取りに来る。
それを渡しながら、また俊樹と離れて飲むのかと思うと気が重くなる。
きれいな桜の下で彼は他の女性と一緒…
たまらない…
全てを配り終えて部長の横に戻ると、わしゃわしゃと髪の毛を触られて一言「ご苦労様」と言われた。
部長は何も言わない。
きっと高宮くんの表情を見て、言う必要がないと判断したようだった。

「部長飲んでますか?」

その声に振り向くと、後ろに俊樹が立っていた。

「ほどほどにな…まぁ、座れ」

部長の言葉に俊樹は私の横に座った。
俊樹の顔をみれば「逃げてきた」と一言笑って言った。
篠原さんと早坂さんを見れば、春馬が相手をしていた。

「高宮のやつかなり凹んでるようだったが?」

「ええ…三宅さんがずばりいいましたからね…一応フォローはいれましたが…どうなんでしょう」

私を挟んでそんな話を始めた。

「これで辞めるようならそれだけの男だったということだ…残るのであれば…営業がどんなもんか叩き込んでやるよ」

新しい部下をしごけると思っているのか部長は楽しそうだった。
学生を出たばかりで社会人としてまだまだな彼の成長を誰もが見守っていた。
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